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もくじ +++

■ サムライメックのココがイイ
 仰天!その面白さは社会問題に >> 被害者発生、しかも牛! <<
 衝撃!独特の世界観
 必見!未曾有の戦闘シーン
 脱帽!やたらと凄いグラフィック
 必聴!音が無い!
 妙技!専用エディタ
 戦慄!強いヤツは許される >> かつてないヒーロー像 <<
 興奮!なんとも豪華な製作スタッフ

■ もう一つのサムライメック物語
 幻のダンジョン
 ディス イズ ザ サムライ

 

仰天!その面白さは社会問題に >> 被害者発生、しかも牛!<<

当時のサムライメックの影響力を表すこんなエピソードがある。

ある北海道の酪農農家の主人が、サムライメックにはまってしまい、仕事もほったらかして熱中。「牛に餌をやらなくて困っている、どうにかしてほしい」とその牧場主の夫人から(株)ヒューリンクスにクレームがあった。

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人間だけでなく、動物まで巻き込むこととなった、このサムライメック現象。未だかつて、牛にまで影響を及ぼしたゲームが、はたして存在したのだろうか!? 一ユーザーである私(当サイト制作者)の目から見て、実際にどのようなゲームであったのか、いったいどのようなところがファンのツボにはまったのか、主観満載で解説してみたいと思う。モー。

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衝撃!独特の世界観

私はこのゲームをプレイし始めて5分後、正直ヤバイと思いった。「このゲームはヤバイ。はたして私はクリアできるのだろうか」と。あまりに独特なその世界観に圧倒され、先行きが心配になったのだ。(身も蓋もない言い方をすれば、「やっべーこれ○ソゲー!?」と思ったってこと。ごめんなさい)

しかし、私のその危惧は無駄であった。ゲームが進むに連れ、はまり始めている自分に気づき、あるイベントを終える頃には完全にその虜になっていた。このようなサイトを立ち上げるほどに‥‥。

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必見!未曾有の戦闘シーン

先行きが心配になった原因の大きな一つは、その独特な戦闘シーンだ。

ゲームを開始して数分のうちに一番最初の戦闘が始まる。そして、馴染みのない戦闘画面に戸惑う。(詳しくは「サムライメック基礎知識」を参照)

装備している武器で攻撃する「たたかう」だけでも、サムライメックでは「上段」「中段」「下段」の3通りある。私は一応、剣道有段者なので、この選択には非常に悩んだ。一般に剣道では「上段」は攻撃の構えであるが、胴ががら空きになるため守りには弱い。「中段」は攻守ともにバランスの取れた構えであり、「下段」は受身の構えである。

さんざん迷い、構えをそれぞれ使い分けながら序盤は進んだのだが、いまいちその効果がはっきりとしなかったため、中盤以降は何も考えず、ひたすら「攻撃」コマンドを選んだ。特に不都合も無かったし。‥‥え、えと、バリエーションがいろいろあっていいと思うヨ。うん、イイよねー。うん。

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脱帽!やたらと凄いグラフィック

正直言って、当初私はこのゲームを舐めてかかっていた。7年も前(当時)のゲームが、この目の肥えた私感動させることができるのか、と。

ここでいう「グラフィック」とは、今で言う3DCGがグイングインのピカピカの、というモノではない。マップはドットドットしているし、色数も16色と、当時の家庭用ゲーム機よりひどい有様。しかし当時のパソコン、Windows95 も出ていない時代、Macintoshがその時代の最先端を行っていたとはいえ、厳しい制限の中ここまで表現したサムライメックはやっぱりスゴイのである。

何度でも言おう。ここまで出来るかというほど、デザインが素晴らしい。ともかく素晴らしい。嗚呼素晴らしい。特に、ユーザーがそれを感じることが出来るのが、戦闘の度にお目見えするモンスターデザインである。怪しい世界観に合った、おどろおどろしい敵達。時に恐ろしく、時に美しくもある。新しい敵に遭遇する度、このデザインを手掛けた人物の才能が、並大抵ではないことに誰もが気づいただろう。

ゲームを進めるうちに、私にはこのゲームに対するスタッフの気合いが感じられた。そして、舐めてかかった自分を恥じた。

●設定資料はこちらからダウンロード可 >>付録

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後で野間口氏の著書を読んで知ったのだが、これらのグラフィックはまず森川氏の手によってAmigaで作られ、のちにMacintosh用にコンバートされていたらしい。また、森川氏といえば、ウゴウゴルーガの「兄貴」。そのウゴウゴルーガもCG部分はAmigaだと聞く。なるほどリンクする。時期的にもぴったり。

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必聴!音がない!

そう。サムライメックには、家庭用ゲーム機では空気のような存在であるバックグラウンドの音楽が無い。「常にバックグラウンドに曲が流れている」という、ファミコン以降の家庭用ゲームのような既成概念が当てはまらないのだ。

これは当時のMacintoshのシステム上、どうしようもないことなのだろうが。これにはたまげた。初め、自分のマシンの調子が悪くなったのだと思い、システムの設定を確認したり、再起動までかけたりした。

かといって、そういうゲームなんだ、と思っていると、突然の効果音に驚かされる。野間口氏も著書の中で書かれているが、「極楽ランドで、夜中の遊園地に響く少女のすすり泣く声」は、この”バックグラウンドに音が無い”という特異的な環境との相乗効果によって、強烈に印象に残る。

ゲームは、画像の質でも音の質でもない。壮大な話だから感動できるってものでもない。

サムライメックには、今まで私が遊んだゲームには無い何かを感じた。

●オープニング、エンディング曲はこちらからダウンロード可 >>付録

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妙技!サムライメック専用エディタ

ゲームを遊ぶ側からはよく分からないが、実はこれを抜きには何も始まらない根幹部分に「プログラム」というのがある。

サムライメックは、このゲームのためだけに作られた専用エディタで作られている。少ないスタッフで、しかも短い開発期間に効率的に仕上げるには、この専用エディタがあったから実現できたのだ。

私が開発スタッフの方々にお会いして、まず皆さんが仰ることには「あれほど優れたエディタには、あれ以来お目にかかったことがない」と。これまで何本ものゲームを手掛けてこられたムームーの方達が仰るのだから、これは間違いないのだろう。

実は私も、少しだけそのエディタの一部を触ったことがあるのだが、実に直感的で、シロートの私ですらこんなに簡単に編集ができるのか、と思ったほどである。

●大公開!サムライメック2・エディタ画面

また、サムライメックは10年近く前のOS(漢字Talk6)に最適化されているにもかかわらず、Mac OS 9でも問題無く動作する(ただ、今のマシンだと異様に処理スピードが速いが)。はたして今現在、一度のアップデートも無く8年間も使えるソフトが他に存在するのだろうか(※)? サムライメックはとんでもなく堅牢なプログラムで出来ているのだ。

※最近のOS(現在確認されているのはOS8.1以降)では、サムライメック1の音が正常に出ないようだ。Mac OS エミュレーターでも同様。現在動作環境を調査中。(2002/08/17)

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戦慄!強いヤツは許される >> かつてないヒーロー像 <<

このサイトにおいて、私が最も言いたいのはこのことだ。いや、このことを言いたいがためにこのサイトを作ったと言っても過言じゃない。サムライメックの全てがここに集約されているのだ(と確信)。

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サムライメック II のゲーム中盤で、主人公は大江戸シティに自分の家を構えることが出来る。初めは平屋建ての一間に女中一人がいるだけ。ストーリーが進むにつれ家も大きくなっていく。まあ、ここの程度なら他のゲームにもよくあるイベントではある。

やがてお蝶という女スリが、押し掛け女房としてその家に住み始める。主人公は結婚するのだ。

またイベントの関係上、主人公は大江戸シティにあるピンク街・吉原に通うことになる。ここで何人かの遊女と仲良くなるのだが、そのうちの最年少である浜路(はまじ)に気に入られる。この浜路は、遊郭にいるとはいえ、性格はかなり控えめのピュアな設定になっている。こともあろうか既に既婚者である主人公は「にいさま〜」と兄のように慕うこの娘を、手込めにしてしまうのだ。一応、見請け人ということにはなっているが、私はこの節操の無さに驚きおののいた。

しかし主人公の鬼畜ぶりはまだ終わらなかった。さらにこの遊郭の一番人気・高尾(たかお)の危機を救い、この高尾さえも自分の家に連れてくるのだ。高尾は「ご面倒はかけません」と、主人公の家で踊り教室を開いて、その収入を主人公に渡す。一見、ドライなつき合いのようだが、そんなことに騙されちゃいけない。

一つ屋根の下に妻が3人。想像力豊かな私は、いたたまれなくなってくる。なのに、この女性達は誰一人として「私だけを愛して!」などとは言わない。誰もがお互いを誉め合い「あなたが遠くに行っても、私待ってるから」みたいな、聞き分けのイイことを言うのだ。(いや、主人公の見ていないところでは3人の醜聞劇が繰り広げられていたのかもしれない)

なんという男のエゴイズム。まさか、まさか! と、そのとんでもない事態を目の当たりにしていくうちに、このイベントが完了した時点で私は完全にサムライメックの虜になってしまっていた。

かつての勧善懲悪モノのRPGではありえ無い、この無節操なイベント。 私は世界に向けて発信したい。

 主人公の嫁はんは3人なんやで〜!!

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「私はこのイベントに一番驚かされた」ということを、このシナリオの作者である野間口氏に伝えたところ、こんな返事が返ってきた。

「大人のゲームだからね。ハハハ」

後フォロー的に、野間口氏の名誉のためにも書いておくが、上記のようなイベントは、あくまでサラリと、あくまでサブイベントとして機能している。けっしてドロドロしていない。そのあたりが氏をはじめスタッフの見事な手腕なのである。

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興奮!なんとも豪華な製作スタッフ

このように、サムライメックはスゴイ才能を持ったスタッフ達によって作られている。

森川氏よりこんなコメントを頂いた。

ともかくサムライメックやっててよかったのは、 松原さんや三浦君、山口君、野間口君というとんでもない才能と出会えたことですね。 今思っても、あれほど、天才度の密度が高い仕事ってなかったです。

‥‥ちょっと聞いた!? あんた、どう思うよ、エ?
私の感じていたモノはやはり間違ってはいなかった。私達は、お互いに天才だと認め合っていた人達が作った、もの凄いゲームで遊んでいたのだ。

いくつもの類い希な才能が集結して出来たサムライメック。この出会いを機に、スタッフ達はその後また一緒に仕事をすることになる。天才達のそれぞれの分岐点にもなったのだ。

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幻のダンジョン

サムライメック II のカタログの裏面にこんな記載がある。

「‥‥クリア後もまだ遊べるように、隠しメックや、隠れ賞金首、<修羅の塔>という名の謎の場所なども用意しました」

隠しメック、隠れ賞金首‥‥、おそらくあれらのことだろう。しかし‥‥修羅の塔??? いくら探してもそんな塔は無い。ただ一つ気になるのが、外宇宙マップの画面上の辺りに小さな孤島がある。(マップ>>)いずれ行けるようになるものだと思っていたのだが、いっこうにそんな気配もない。

暫く悩んでいるうちに、開発者の野間口氏とお知り合いなれる機会に恵まれ、それについて教えてもらうことが出来た。

なんでも、「修羅の塔」とは企画当初から精作最終段階まで構想にあった「無限ダンジョン」のことで、結局締切に間に合わず実現できなかった、というものらしい。

なるほど。その「修羅の塔」が出来るはずだった場所が、外宇宙の孤島なのかもしれない。

さらに野間口氏から、なにしろ締切の数日前まで、作るつもりだった建物なので、それにつて触れたメッセージが残ってしまっているのかもしれません。マップ担当の自分も入り口だけは作った記憶があります。その出来損ないの建物も、削除されずにデータの中に残っているんじゃないかと‥‥、とのお言葉。

うーん。是非とも実現して欲しかった。

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ディス イズ ザ サムライ

このゲームが実際のところ、どれだけ売り上げたのかは定かではないが、爆発的大ヒットとまではいかなかったようだ。その理由として考えられる一つは、プラットフォームの問題である。

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私がこのゲームをプレイして痛感したことの一つが「なぜMacintosh専用ゲームなんだ」ということだ。

当時のMacintoshにおいて画期的なゲームであるのに、Winodowsではとうてい無理な話であるから、これはまあしょうがないのかもしれない。が、やはり日本のMacintosh市場では潜在的ユーザーが少なすぎる。

もし、これが世界のMacintoshユーザーを相手にしたゲームであれば話は別である。サムライメックの怪しい世界観は、西洋から見た日本のイメージにぴったり! もし英語版が出荷されていたのなら、その反響はかなりのものであったはずだ。と思うのは私だけだろうか??

実はこんなことを、プロデューサーである田崎氏に直接話したことがある。

すると、当初の構想として、このゲームの輸出も考えてはいた。しかし、この膨大な内容を、翻訳および2バイト→1バイトにデータを作り直さないといけないため、コスト、手間とを考慮すると断念せざるを得なかった、というようなお返事を頂いた。

むう。やはりそう簡単にはいかないのか‥‥。

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現在、日本は圧倒的にWindows市場である。当時は脆弱であったシステムも、今ではほとんどMacintosh と変わらない。現在のような環境で、両プラットフォームでサムライメックが出ていれば‥‥と、一ファンとしては悔しさを禁じ得ない。

また、家庭用ゲームとして開発されていたらどうなっただろう? この場合は根本的に、動く金の規模、人員、開発の仕方から変わってくるので、ゲーム自体全く違うものになっていただろう。少人数でも作ることが出来るパソコンゲームだからこそ、このサムライメックが実現したのだ。

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こんなファン心とは裏腹に、このサムライメックの根本には、「爆発的ヒット製品を生みだして、がっぽり儲ける‥‥つもりはない」というものがあったようだ。もっと違うところに目標がおかれていたのだ。

その点においては、素晴らしいゲームに仕上がり皆の胸に感銘を残した、という事実からして大成功を納めている。

このようなストイックな姿勢が、また一層ファン心理をくすぐるのである。

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